スキアエノクロミス フライエリー(旧名:アーリー)/ Sciaenochromis fryeri
Sciaenochromis fryeri
スキアエノクロミス・フライエリー(旧名:ハプロクロミス・アーリー)
スキアエノクロミス・フライエリー(旧名:ハプロクロミス・アーリー)
学名の意味
属名:スキアエノクロミスは「ヒメジ科の魚ににたハプロクロミス」を表します。
※ skiaina, skion(ギリシャ語)= ヒメジ科(ウミヒゴイなど)
学名:フライエリーはGeoffrey Fryer博士(1927~)への献名。
※ ンカタベイ(Nkhata Bay)にて魚類調査のチームを編成し、マラウィ湖の魚類について体系的な調査を行った。
※ skiaina, skion(ギリシャ語)= ヒメジ科(ウミヒゴイなど)
学名:フライエリーはGeoffrey Fryer博士(1927~)への献名。
※ ンカタベイ(Nkhata Bay)にて魚類調査のチームを編成し、マラウィ湖の魚類について体系的な調査を行った。
スキアエノクロミス・フライエリー(アーリー)の体色と体型
スキアエノクロミス・フライエリーは最大で12㎝~15㎝前後の中型魚です。
餌を大目に太らせて飼育すると、それよりも大きくなることがあります。
餌を大目に太らせて飼育すると、それよりも大きくなることがあります。
スキアエノクロミス・フライエリーの分布と繁殖形態
スキアエノクロミス・フライエリーはマラウイ湖全域に分布しています。
そして、交尾を行う時は、口外受精をおこなっています。
口外受精は隙が多く「卵泥棒食性」(※)の魚から卵を捕食されるリスクが高い為、洗練されていない原始的な繁殖形態と考えられています。
「マラウイ湖に広く分布する」、「原始的な繁殖形態」、この2点からフライエリーは古くから湖に存在していた古い種類だと考えられています。
(※)卵泥棒食性のナエボクロミス・クリソガスター
<< 参考>> 繁殖方法の違いによる種族の新旧について
そして、交尾を行う時は、口外受精をおこなっています。
口外受精は隙が多く「卵泥棒食性」(※)の魚から卵を捕食されるリスクが高い為、洗練されていない原始的な繁殖形態と考えられています。
「マラウイ湖に広く分布する」、「原始的な繁殖形態」、この2点からフライエリーは古くから湖に存在していた古い種類だと考えられています。
(※)卵泥棒食性のナエボクロミス・クリソガスター
<< 参考>> 繁殖方法の違いによる種族の新旧について
スキアエノクロミス・フライエリーの地域差異
本魚はマラウイ湖全域に存在しますが、南方型と北方型で大きく地域的な色彩差異があります。
南方型: 頭部にかけて白い色彩が出てくる、尻鰭が黄色
北方型: 頭部にかけて白い色彩はあまり出て来ない、尻鰭が赤色
南方型: 頭部にかけて白い色彩が出てくる、尻鰭が黄色
北方型: 頭部にかけて白い色彩はあまり出て来ない、尻鰭が赤色
フライエリーとアーリーの間での分類学的混乱
本魚は長い間、スキアエノクロミス(ハプロクロミス)・アーリーと呼ばれていました。
但し、アーリーとは北部のタンザニア領域にのみ生息する魚で、全長20㎝ほどになる大型魚です。
しかし、両者はとても似た色彩・体型を持っている為、学術研究が進んでいない70~80年代は混乱していました。
この事により、本魚は長い間(現在でも)スキアエノクロミス・アーリーと呼ばれることがあります。
但し、アーリーとは北部のタンザニア領域にのみ生息する魚で、全長20㎝ほどになる大型魚です。
しかし、両者はとても似た色彩・体型を持っている為、学術研究が進んでいない70~80年代は混乱していました。
この事により、本魚は長い間(現在でも)スキアエノクロミス・アーリーと呼ばれることがあります。
スキアエノクロミス・フライエリーの捕食習性
スキアエノクロミス・フライエリーは小魚を捕食する魚食性プレデターです。
主にハプロクロミスの幼魚を捕食し、ムブナの幼魚を捕食する傾向は高くありません。
また、本魚は「徐々に間合いを詰めて捕食」する捕食形態タイプの魚です。
「追跡型」や「待ち伏せ型」の捕食形態ではありません。
また、具体的にどの様にして間合いをつめていくのか、フライエリーは様々な行動パターンを野生下では見せてくれます。
主にハプロクロミスの幼魚を捕食し、ムブナの幼魚を捕食する傾向は高くありません。
また、本魚は「徐々に間合いを詰めて捕食」する捕食形態タイプの魚です。
「追跡型」や「待ち伏せ型」の捕食形態ではありません。
また、具体的にどの様にして間合いをつめていくのか、フライエリーは様々な行動パターンを野生下では見せてくれます。
ムブナの真似をして間合いを詰める捕食形態
一部のフライエリーには草食魚のムブナの真似をすることで、餌になるプロトメラス・タエニオラータスなどの稚魚を安心させる戦略をとっています。
この形態パターンは主に岩場で行われます。
本魚は体を45度の角度に傾け、岩の表面をつつき、まるで苔を捕食するムブナの行動を真似をします。
この行動を何度も繰り返し、餌になるタエニオラータスへと徐々に近づいてきます。
そして捕食範囲に入った瞬間、対象魚を素早くとらえ食べてしまいます。
この形態パターンは主に岩場で行われます。
本魚は体を45度の角度に傾け、岩の表面をつつき、まるで苔を捕食するムブナの行動を真似をします。
この行動を何度も繰り返し、餌になるタエニオラータスへと徐々に近づいてきます。
そして捕食範囲に入った瞬間、対象魚を素早くとらえ食べてしまいます。
カンパンゴの巣の周りで間合いを詰める捕食形態
カンパンゴの巣の上部にはシクリッドの稚魚が集まっています。
<< カンパンゴの巣の様子について詳細 >>
フライエリーはこれら稚魚を狙うため、巣の周りを周遊しています。
そして、十分な間合いをつめると、素早く稚魚を捕食します。
70年代、フライエリーが紹介され始めた当初、本魚の捕獲数はとても少なく輸出されることが殆どありませんでした。
しかし、フライエリーは「カンパンゴの巣にあつまっている」という習性が分かってくるにつれ、徐々に捕獲数が増加していきました。
カンパンゴの一つの巣には常にフライエリー(オス・メスともに)が10匹程うろついていると言われています。
<< カンパンゴの巣の様子について詳細 >>
フライエリーはこれら稚魚を狙うため、巣の周りを周遊しています。
そして、十分な間合いをつめると、素早く稚魚を捕食します。
70年代、フライエリーが紹介され始めた当初、本魚の捕獲数はとても少なく輸出されることが殆どありませんでした。
しかし、フライエリーは「カンパンゴの巣にあつまっている」という習性が分かってくるにつれ、徐々に捕獲数が増加していきました。
カンパンゴの一つの巣には常にフライエリー(オス・メスともに)が10匹程うろついていると言われています。
スキアエノクロミス フライエリーの飼育について
本魚は古くから紹介されています。
アフリカンシクリッドを代表するようなポピュラーな種類です。
但し、飼育に関してはそのポピュラー性とはうらはらに、そこまで容易ではありません。
まず、本魚を飼育する上において、留意する点はストレスです。
本魚は混泳魚からのストレス、水質に対するストレスにあまり抵抗力はありません。
容易にストレス性の腹水病にかかってしまいます。
特に繁殖を狙いたい場合、メスは常にオスからフィンスプレッディングや追跡からストレスを溜めやすくなります。
その為、十分な観察と管理が必要です。
いじめられていたり、ストレスをためているような傾向が見られた場合、隔離・他の水槽への移動などの処置が必要です。
通常はオスとメスを完全に分けて、繁殖時のみ混泳させるような飼育が理想だと思います。
また、水質についても若干敏感な所があり、濾過槽にゴミがたまった状態でほったらかしにしておくと、真っ先に影響がでます。
こまめな清掃が必要です。
本魚の飼育には日頃の観察・水質管理、中でも「観察」が要求されます。
「観察」と「水質管理」はシクリッドだけでなく、熱帯魚飼育の基本です。
基本とはいえ、継続するのはなかなか大変です。
この基本を愚直につづける事が出来れば、本魚は容易に飼育できると思います。 (2021/03/30)
アフリカンシクリッドを代表するようなポピュラーな種類です。
但し、飼育に関してはそのポピュラー性とはうらはらに、そこまで容易ではありません。
まず、本魚を飼育する上において、留意する点はストレスです。
本魚は混泳魚からのストレス、水質に対するストレスにあまり抵抗力はありません。
容易にストレス性の腹水病にかかってしまいます。
特に繁殖を狙いたい場合、メスは常にオスからフィンスプレッディングや追跡からストレスを溜めやすくなります。
その為、十分な観察と管理が必要です。
いじめられていたり、ストレスをためているような傾向が見られた場合、隔離・他の水槽への移動などの処置が必要です。
通常はオスとメスを完全に分けて、繁殖時のみ混泳させるような飼育が理想だと思います。
また、水質についても若干敏感な所があり、濾過槽にゴミがたまった状態でほったらかしにしておくと、真っ先に影響がでます。
こまめな清掃が必要です。
本魚の飼育には日頃の観察・水質管理、中でも「観察」が要求されます。
「観察」と「水質管理」はシクリッドだけでなく、熱帯魚飼育の基本です。
基本とはいえ、継続するのはなかなか大変です。
この基本を愚直につづける事が出来れば、本魚は容易に飼育できると思います。 (2021/03/30)
【参考】野生下でのスキアエノクロミス・フライエリー(Youtube)